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メーカー担当者必見!商品陳列・売り場づくりのためのコツとは?

自社商品を扱う小売店の店頭で、自社商品をどう売ってもらうのか――そんな悩みを抱えるメーカーの担当者は、多いのではないでしょうか。
例えば、自社と小売店の本部同士の商談で、店頭展開の有利な条件を結んだとしても、実際にそれが店頭でちゃんと実現されなければ意味がありません。また、店頭展開の立ち上げの遅れや、販促物の設置不備などが発生すれば、販売機会の喪失につながってしまいます。こうした問題は、売り場を「他社」に任せっきりになってしまっていることで、起こりがちになります。
つまりは、メーカーからも、店舗の陳列の確認や店頭改善の提案を、積極的に行っていく必要があるわけです。今回は、メーカー担当者が売り場の改善を提案する際に役立つ、商品陳列や売り場づくりのコツをご紹介しましょう。これらの点を理解しておくと、提案における説得力が違ってくるはずです。

目次[非表示]

  1. 1.売場づくりはマーチャンダイジングを意識すべき
      1. 1.0.1. 1 適正な商品
      2. 1.0.2.2 適正な時期
      3. 1.0.3.3 適正な場所 
      4. 1.0.4.4 適正な数量
      5. 1.0.5.5 適正な価格
  2. 2.売上を左右する定番売り場とは? 
  3. 3.商品陳列のポイントは? 
  4. 4.客動線を意識した陳列を行う
      1. 4.0.1.サイドネット売り場を活用して陳列を行う 
      2. 4.0.2.優位置を意識した陳列を行う 
  5. 5.自社商品の店頭売上をアップさせる4つのポイント 
      1. 5.0.1.1 前出しはできているか? 
      2. 5.0.2.2 販促物がきちんと設置されているか?
      3. 5.0.3.3 値札がついているか? 
      4. 5.0.4.4 サイドネットは有効活用されているか?
  6. 6.成長が続くメーカーと続かないメーカーの違いとは?
  7. 7.売り場づくりにフィールドラウンダーを活用しよう 

売場づくりはマーチャンダイジングを意識すべき


売場づくりには、「マーチャンダイジング」を意識することが重要です。マーチャンダイジングとは、主に小売業界で使われる用語で、一言でいうと「商品を顧客に届けるための戦略」となります。
アメリカ・マーケティング協会(AMA)によれば、マーチャンダイジングで重要となるのが「5つの適正」です。ポイントは、「何を」「いつ」「どこで」「どれだけ」「いくらで」売るのかを、メーカー都合ではなく、顧客のニーズを踏まえた上で行えているかどうか。それが適正に行えていれば、店舗の売上向上につながるのです。まずは、この5つの適正について、詳しく見ていきましょう。


 1 適正な商品

消費者の人気が高い「適正な商品」を並べれば、確実に売上につながります。つまり、来店客のニーズに合った商品が店頭にどれだけそろえられているかが、マーチャンダイジングにおけるポイントとなるのです。
売れる・売れないを分析し、商品を発注するのは店舗です。定番商品であれば、店舗はそれまでの売上実績を参考にし、どれだけ売れそうかを判断して発注をかけます。一方、新商品に関しては、店舗はメーカーのブランド力やプロモーションなどを見て、売れそうかどうかを予測し、発注をかけるのです。つまり、メーカーから見れば、より熱心に店舗への営業をすべきは、定番商品よりも新商品ということになります。


2 適正な時期

店頭に並んでいる商品は、季節を問わず並べられる品と、シーズン品とに大別されます。シーズン品が適正に並んでいるか、「適正な時期」も売場づくりのポイントとなります。
真夏にダウンジャケットを仕入れてもニーズはなく、真冬に短パンを仕入れてもニーズがない――これも間違いではありませんが、単に季節にぴったりの商品を並べればOKという、単純な話ではありません。例えば、2月中旬に店頭に日焼け止めが並んでいるのを目にしたことがあるのではないでしょうか。実はシーズン品は、「その季節の真っ盛りになってから並べても遅い」のです。シーズン品の売上を最大化するためには、その商品が必要とされる2~3ヵ月程前から売り場に並べ、来店客に商品の存在を刷り込んでおく必要があります。こうすることで、商品が必要となったタイミングで、来店客が「あそこに置いてあったな」と思い出し、商品を手に取ってもらえるというわけです。


3 適正な場所 

来店客が買いやすく、購買意欲が刺激されるように、関連性の高い商品を近くに並べる「適正な場所」も重要です。
当然ですが1店舗の中には、売れやすい場所と売れにくい場所が存在するもの。メーカーとしては、本部や店舗における商談で、いかに売れやすい場所に自社の商品を置いてもらうかがポイントとなるのです。


4 適正な数量

商品をどれくらい仕入れるのかは、店舗にとって難しい問題です。仕入れすぎると、在庫過多になってバックヤードが埋まり、管理が大変になります。反対に、仕入れが足りないと、欠品が発生して来店客に品揃えが悪い店という印象を与えかねません。そうならないために、店舗は過去の売上データなどを参照し、発注数を「適正な数量」に調整します。
もし、売り場に余裕があれば、ある程度まとまった量を並べたほうが商品は目立ちます。「100個の商品を売りたいのであれば、150個を並べる」というように、。適正な数量に関して、そうした観点があることも理解していれば、メーカーからの発注数上乗せの営業もかけやすくなるでしょう。


5 適正な価格

店舗が価格を決定するポイントは、「ユーザー希望とメーカー希望のバランス」「競合他社の商品価格とのバランス」の2つです。この2つを前提に、原価に対しどれくらい利益をのせるかを店舗が決め、価格が決まります。いくら高品質な商品であっても、ターゲットとするユーザーの希望を大きく上回る価格をつけてしまうと、当然売れ行きは伸びません。
店舗が自社の商品に「適正な価格」をつけているかどうかを、メーカーとしても逐一確認しておく必要があるでしょう。


売上を左右する定番売り場とは? 

店舗には、来店客が目的を持って買い物をする「定番売り場」があります。例えば、スーパーの「お酒売り場」や「お米売り場」のような、カテゴリーごとに商品が並べられた陳列棚が定番売り場にあたり、売上は店舗全体の80%を占めるといわれているのです。
一方、いわゆる「衝動買い」で買うタイプの商品を展開する売り場のことを「定番外売り場」といいます。後程詳しくご説明しますが、「エンド」と呼ばれる通路に面した棚や、その両脇の「サイドネット」、レジ前などが定番外売り場に該当し、売上は店舗全体の20%です。
売上をアップするためには、まず高い割合を占める定番売り場をチェックする必要があります。具体的には、新製品が目立つようになっているか、季節に応じた棚割りになっているか、欠品がないか、古い商品が残っていないかなどを確認します。
また、メーカーの立場からすると、この定番売り場の良い棚の位置に、自社の商品を陳列してもらえるかが重要となるのです。


商品陳列のポイントは? 

来店客がどの程度商品を買ってくれるかは、売り場の作り方で確実に変わります。売り場の作り方の中で最も重要なのが、商品陳列です。
下記でご紹介している商品陳列に関するポイントは、店舗だけでなく、基礎知識としてメーカー担当者も理解しておくべきものばかり。これらのポイントを理解しておくことで、店舗への提案をする際に役立つはずです。


客動線を意識した陳列を行う

客動線とは、入り口から入ってきた来店客が、店舗の中を移動するルートのことです。
例えば、多くのスーパーでは、野菜、魚、肉、乳製品などが、壁に沿って順に陳列されています。そうして、多くの来店客が必要としている商品を順番に見ていく形で陳列することで、自ずと店内を1周するようなルートが作られているのです。


サイドネット売り場を活用して陳列を行う 

スーパーやドラッグストアで、通路に面した「エンド」の両側にある、縦長のスペースである「ネット」に、商品が引っ掛けて陳列してあるのを見たことがあると思います。それが、「サイドネット売り場」です。
サイドネット売り場には、来店客が客動線どおりに店内を回ったときに、自然と目に入る「A面(表面)」と、振り返ったときに見える「B面(裏面)」があります。
売上を上げるためには、A面でシーズン品やスポット商品を展開し、B面で定番棚の商品とつながる同一カテゴリーの商品を置くのが効果的とされています。


優位置を意識した陳列を行う 

「優位置」とは、来店客の目に入りやすい位置や、手に取りやすい位置のことです。来店客の目線の高さと合致する「ゴールデンライン」ともいわれ、具体的には床から80~135cmの位置を指します。ここに陳列された商品は、圧倒的に手に取ってもらいやすいため、通常は、売りたい商品をゴールデンラインに置くものです。
メーカーの担当者は、自社の製品がゴールデンラインに陳列されていなければ、置いてくれるよう店舗に働きかける必要があります。なお、「同じカテゴリーの商品を複数並べる場合は、右側の商品がより手に取られやすい傾向がある」「売れない商品を売れ筋の商品のあいだに挟むことで手に取ってもらいやすくなる」といった手法もあります。こうした陳列のコツを理解しておくと、店舗への働きかけもより効果的になるでしょう。


自社商品の店頭売上をアップさせる4つのポイント 

店頭での自社商品の売上を高めたいならば、店舗に陳列や売り場づくりを任せっきりではいけません。メーカーからも、店頭の改善を積極的に働きかけることが重要です。
続いては、店舗だけでなくメーカーもチェックすべき、店頭売上をアップさせるポイントを4つご紹介します。


1 前出しはできているか? 

売り場の商品は、基本的に棚の手前から売れていくものです。そのため、適宜補充をして、奥の商品を前に出さないと、「在庫があるのにお客さんの目にふれない」という事態が起こってしまいます。
この前出しを適切なタイミングで行えているかどうかで、売上が約5%変わるともいわれます。補充と前出しがきちんと行われているか、店舗を訪れた際に確認をしてみましょう。


2 販促物がきちんと設置されているか?

販促物がきちんと設置されていないと、どのような商品なのかが来店客に伝わりません。メーカーと店舗の本部同士の商談で、販促物の設置が決まっているのであれば、なおさらです。店舗に働きかけ、販促物の適切な設置を求めましょう。


3 値札がついているか? 

値段がわからない商品を、「買いたい」と思う人はなかなかいないものです。値札を来店客の見やすい位置に設置することも、売上アップには欠かせません。
しかし現実は、メーカー担当者が値札の設置までは確認しないことのほうが多いようです。値札の設置、さらに目につきやすい位置への変更などを店舗に求めることで、他社よりも効果的な商品訴求につながります。


4 サイドネットは有効活用されているか?

陳列の競争率がそれほど高くないけれど、意外と売上につながりやすいのがサイドネット売り場です。
サイドネットに商品が無秩序に並べてあったりするのは、もったいないもの。サイドネット売り場を有効活用できるよう、手に取りやすい陳列を心掛けるなど、見直しを店舗に提案してみましょう。


成長が続くメーカーと続かないメーカーの違いとは?

現在は、小売各社が生き残りをかけ、店舗数を拡大しています。一方で、今後国内人口はさらに減少していきます。店舗を訪れる人の数は、今後さらに減少していくわけです。
店舗の売上は、客数×客単価によって決まるもの。つまり、客数が減少するのであれば、客単価を上げるしかありません。だからといって、闇雲に各商品の単価を上げれば、間違いなく客離れが起こります。
そこで重要となるのが、1人の客の「購入点数」をいかに増やすかです。この点も店舗任せにしているようでは、メーカーとしての成長は望めません。店舗とともに積極的な店頭活動行い、メーカーからは店舗へのフォローを行っていくことで購入点数を増やし、売上アップにつなげる。商品開発にとどまらず、そうした提案やフォローができるメーカーが、今後も成長を続けていくでしょう。

売り場づくりにフィールドラウンダーを活用しよう 

メーカーの担当者に代わり、店舗を訪問し、店頭活動を行うのが、「フィールドラウンダー」です。メーカーが店舗との関係性を深め、なるべく自社の商品が売れる売り場を構築していくためには、フィールドラウンダーの活用が効果的です。定期的に店舗を訪問して店頭活動を行う「店頭フィールドラウンダー」や、新商品の発売時や大規模企画の展開時に、短期的に店舗を訪問する「スポットラウンダー」を活用し、店頭構築に積極的に関わっていきましょう。
また、ラウンダーを活用してフィールドマーケティングを行えば、現場の実情把握にも役立ちます。定量的に現場のデータを把握・分析することで、本部での商談を有利に進めるための材料にもなります。



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